特集 ~保証書がもたらす保釈の末路~

米国での保釈保証書運用の実態

全国弁護士協同組合連合会(以下全弁協と言います)による保釈保証書の提出という方法による「保釈手続方法」が検討されていますが、この保証書の提出という方法がアメリカの諸州で採用されている保釈保証会社による保証書の提出という制度に似ているのではないかと考え、その制度の実情の一部を2012年末に日本保釈支援協会として米国に弁護士を同行し調査してみました。

事前の調査で米国の中で保釈制度改革を行い成功を遂げ理想モデルとして他の州の保釈制度を牽引し保釈保証会社による保証書提出という制度を積極的に採用していないとされていたマサチューセッツ州の州都ボストンに出向きました。そしてボストン市にある州のボストン地方裁判所(Superior Court)を訪問し、同裁判所の保釈に関する責任ある地位にある方(State Bail Administrator-以下SBA氏と言います)と面会しボストン地方裁判所ビルの14階でお話を聞くことが出来ました。

お話の冒頭、我々はこれまで日本にない保釈手続きとして全弁協の構想スキーム(保証書による保釈手続と保険会社を利用する仕組み)を説明し、参考になる資料を集めていると伝えたところ、SBA氏は即座に「保証書を利用した保釈制度は詐欺みたいなものだ。」と話しだされたのには驚きました。SBA氏によれば、マサチューセッツ州では保証書を利用した保釈金納付は極めてまれなことで、我々の調査当初、インターネットによっても保証書を使った保釈金の納付が見つからなかったことや、一般市民が保証書の存在も知らなかったことは、同氏の評価からむしろ当然だと理解できました。

我々が集めた乏しい資料によってもアメリカでもいくつかの州では保証書を利用した保釈手続きは認めていない事が解りました。

SBA氏は、保証書の利用に批判的な理由として、「保証書で保釈手続を行い、保険会社に担保させた場合、被告人の逃亡・罪証隠滅等の抑止力は低下する。裁判所は抑止の為保釈金を釣り上げる。そして、そのことで保釈制度を利用してビジネスを展開する奴ら(保釈業者)が増加し、過当競争になり、更に抑止力が低下した結果現実的に必要な保釈金額より遥に高い保釈金が決定される様になった。我が国のこの様な歴史に学び保証書による運用は慎重に行うべきである。」と忠告してくれました。

我々は、上記のお話に係る資料の提出をSBA氏に求めたところ、2001年のマサチューセッツ州最高裁判所による保釈許可決定の写しと保釈許可決定に関するレポートをくれました。この決定の結論は裁判所は被告人に対して、現金納付の場合と保証書を使う場合について保釈金額を二重に定める事ができ、現金納付の場合の金額は保証書を利用する場合の保証料の最高額の等しい金額とする事ができるというものでした。

SBA氏が手渡してくれた2001年のマサチューセッツ州最高裁判所による保釈許可決定の写しと保釈許可決定に関するレポートをご紹介いたします。
(和訳は株式会社サン・フレア、原文は次のpdfファイルをご確認ください:COMMONWEALTH vs. JAMES RAY.

SJC-08546

マサチューセッツ州 vs. James Ray

サフォーク、2001年6月12日~2001年10月10日

出席者:首席裁判官Marshall、裁判官Greaney、
同Ireland、同Spina、同Cowin、同Sosman、同Cordy

 

保釈 法律の解釈 用語「対当額」

本件民事訴訟は、サフォーク郡の申立てにより、マサチューセッツ州最高裁判所において2001年4月4日に開始。

保釈決定命令は取消し。本件はGreaney裁判官が記録。

州代理人:特別地方検事補Robert L. Goodale(地方検事補Kevin Connellyが補佐)

被告代理人:Paul J. Machado

以下の者が裁判所の友(amici curiae)として意見書を提出した。

Greta A. Janusz(International Fidelity Corporation代表)

司法長官Thomas F. Reilly、司法長官代理として、司法副長官John E. Bowman, Jr.、同Dean A. Mazzone

Richard Verrochiの代理として、Peter D. AndersonおよびGeorge T Campbell, III

Cordy裁判官

当裁判所に提起された問題とは、刑事事件における公判前釈放の条件として、裁判官は保釈金に関する2つの選択肢を異なる金額でもって適切に決定できるか否か、ということである。1つは、保証会社が発行する保釈保証書の形式で納める場合の金額であり、もう1つは、保釈保証書の購入に要する保証料(払戻しなし)の最高額と等しい金額であって、現金によってのみ支払うことができる金額である(注 [1])。この問題を解決するためには、マサチューセッツ州一般法第276章第58条の該当条文、すなわち、最初のパラグラフの最後の文を解釈する必要があるが、その条文は以下のとおりである(下線は筆者による)。「地方裁判所の裁判官もしくは書記官もしくは書記官補、保釈審議官、または衡平法裁判所主事が現金による保釈金を要すると判断する場合、被告人は、保証会社の発行する保証書をもって対当額を提供することを認められるものとする。」(注 [2]

保釈の法制の歴史、法改正に至った背景、およびその意図する立法目的に基づいて、当裁判所は、釈放の条件として、裁判官は本件のような保釈金に代わる複数の選択肢を適切に定めることができる、と判断する。

1. 訴訟の背景

2000年12月26日、James Rayは、住居への武装襲撃、武装強盗、危険な武器による暴行殴打、および目撃者に対する脅迫の容疑での告発に基づく罪状認否のために、マサチューセッツ州連邦地方裁判所フォールリバー支部に召喚された。保釈金は、100万ドルの保釈保証書または現金10万ドルと定められた。その後、ブリストル郡の大陪審が同一の罪でRayを起訴した。Rayが初めて上位裁判所に出廷した際、マサチューセッツ州は、上位裁判所の裁判官に対して、地方裁判所の定めた条件と同一の保釈条件を指定するよう要請した。裁判官は、州一般法第276章第58条において、自らには保証書の場合と現金の場合とで異なる金額を指定する権限はないとして、州の要請を拒否した(注 [3])。保釈金は、「10万ドル」と定められた。というわけで、Rayは、現金10万ドルを裁判所に直接払い込むか(この場合、本件結審時に払い戻されることとなる)、保証会社の発行する額面10万ドルの保証書を手配するかのいずれかの方法で、保釈の条件を満たすことが可能であった。後者の場合、保釈金の10%以内、すなわち、最高1万ドルの保証料を保釈保証人に支払うことになり、この保証料は払い戻されない(注 [4])。

マサチューセッツ州は、裁判官の保釈命令からの救済を求めるため、州一般法第211章第3条に従って、郡裁判所に対して申立てを行った。担当の単独裁判官はこの救済を認めた。そして、法律の当該条文は「曖昧である」と断じた上で、「対当額」という語は、保釈保証書の金額と現金による保釈金は同額でなければならないという意味にも取れるし、「あるいは、保釈金として指定された金額の現金をもって得られる保証書の『対当額』、すなわち、10万ドルあれば100万ドルの保証書を購入できる」という意味にも取れる、と結論づけた。この単独裁判官は、上位裁判所がこれまでこの後者の解釈を採用してきたことを指摘し、自らもこの解釈を容認した。そして、本件保釈命令を取り消し、その解釈に基づいてさらに審理を行うよう、上位裁判所に事件を差し戻した。また、単独裁判官は、この問題に対する判断を差し控え、「この論点に関する最終判断」を求めるとして、大法廷に報告した。この論点は、「制度上の重要性を有しており、第一審裁判所において恒常的に生じている」からである。

2. 「対当額」の意味

州一般法第276章第58条の該当条文によると、現金による保証金を要する場合、被告は「保証会社の発行する保証書によって対当額を提供することが認められる」とされるが、この規定は1981年の改正によって追加されたものである(1981年法第802章第2条)。「対当額」という語は法律では定義されていないので、この文脈での解釈は第一印象の問題となってしまっている。法律の文言は、立法目的を確認するにあたっての主要な拠り所であり、法律の文章が明確で曖昧さを排したものであれば、その明白な意味に従って解釈しなければならない。Delaney v. Commonwealth, 415 Mass. 490, 494 (1993)、Bronstein v. Prudential Ins. Co., 390 Mass. 701, 704 (1984)、およびその他の引用されている判例を参照しても、「対当額」という語は、本件で用いられているのと同様に、価値が等しいことを明白かつ曖昧さを排した形で意味するものとはなっていない。

相当という語には本来2つの意味がある。価値が等しいことと、効果が等しいことである(注 [5])。立法者が使用したこの言葉にどちらの意味を当てはめるかによって、条文の解釈が変わってくるのだが、そのどちらにも理があるのだ。法律の文章が曖昧であるため(注 [6])、「法律の目的と立法の経緯」を検討するのが妥当である(Massachusetts Hosp. Ass’n v. Department of Med. Sec., 412 Mass. 340, 346 (1992)参照)。不完全な文言のために立法の目的や意図が明確でないときは、「法律は……その発展、立法機関を通じた進展、時代に応じた変遷、以前の立法、現代の慣行および条件、ならびにその法律が属する実定法の体系と関連づけて解釈するべきである……」とされている(Commonwealth v. Welosky, 276 Mass. 398, 401 (1931)参照)。こうした観点から、当裁判所は、「その制定理由、是正すべき欠陥または不完全さ、および達成すべき主要な目的」と関連づけて本件における法律の解釈を行っている(Telesetsky v. Wight, 395 Mass. 868, 872 (1985)およびそこで引用されているCommonwealth v. Galvin, 388 Mass. 326, 328 (1983)を参照のこと)。

3. マサチューセッツ州における保釈制度の改革の歴史

1981年法第802章によって加えられた保釈金に関する条項の立法化の経緯については、よくわかっていない(注 [7])。しかし、マサチューセッツ州における保釈制度の改革の経緯ははっきりしていて、1970年代には州一般法第278章第58条の全面改正に至っている。この条文に含まれる用語については、この条文が属する法体系に照らして検討しなければならないので、そうした過去の経緯を調べる必要がある。

1967年より前は、被告人が公判前の釈放を認めてもらうためによく使ったやり方は、保証業者から保釈保証書を購入することによって保釈金を納める、というものであり、このために保証書の額面の5~10%の保証料(払戻しなし)を保釈保証業者に支払った。このやり方は全米でほぼ同様であった(注 [8])。1960年代になると、次第に、この制度は問題があるので容認できない、とみなされるようになってきた(注 [9])。連邦最高裁判所は、イリノイ州の保釈制度に関する報告書において、次のように述べている。

「1964年より前は、イリノイ州では、保釈保証業者制度は全盛を極めており、悪用されるケースも後を絶たなかった。この制度の下では、保釈保証人は、法律の認める上限の手数料(保証額の10%)を徴収することを通例としていて……被告が保証条件を完全に充足してもその全額を保持していた。……こうした高額な『保証料』の支払いは、リスクの高い者だけにとどまらず、リスクの少ない者にも要求されていた。その結果、保釈保証人は多額の利益を得るのに対して、被告は過酷で抱えきれないような負担を負わされることとなり、裁判所ではなく、保証業者が保釈金制度の現実の運用を実質的に支配していた。」(Schilb v. Kuebel, 404 U.S. 357, 359-360 (1971)、脚注略、引用一部省略)

1966年法第681章の成立(注 [10])を機に、マサチューセッツ州は、保釈制度の改革において全米を主導するようになり、地方裁判所の管轄となる犯罪については、保釈金の納付による釈放ではなく、本人の誓約書による釈放を法律上の根拠とするように変更すべく法改正を行った最初の州となった(Spangenberg, Bail Reform in Massachusetts: 1965–1967, 52 Mass. L.Q. 135, 146 (1967)参照)。この変更は、1971年法第473章第1条(保釈制度改革法)の成立によって適用範囲が広げられ、死刑対象犯罪を除くすべての犯罪が含まれることとなった。この法律は、州一般法第276章第58条を全面的に改正するもので、被告は、「保証人なしで、本人による誓約書に基づく釈放」を認められ「なければならないが……かかる釈放により被告が裁判所に出廷することが合理的に保証されない(と判断される)場合はこの限りではない」と規定された。これについては、州一般法第276章第58条を参照されたい。また、1971年法第473章第1条に記載のとおりである。なお、Delaney v. Commonwealth, 415 Mass. 490, 495 (1993)およびその他引用されている判例も参照のこと(「立法者は、第58条で、被告人は、保証人なしで被告本人による誓約書でもって釈放を認められるとする根拠を定め、保釈が認められないとされる状況を綿密に規定することで、被告人の権利を保護することを意図していた」)。

本人による誓約書を根拠と定めたことで、保釈金を納めなければならない被告人の数は減少したが、保釈という仕組みが完全に撤廃されたわけではなかった。S.R. Bing & S.S. Rosenfeld, The Quality of Justice in the Lower Criminal Courts of Metropolitan Boston (1970)を参照されたい。マサチューセッツ州の保釈保証人制度に存在していた腐敗(注 [11])を一掃し、その結果残ったものを改革するためのさらなる取組みにおいて、上述の刑事裁判所は、1971年11月16日に、いくつかの地方裁判所を選んで、試験的な保釈プロジェクトの実施を命じた。「保釈金一定比率預託パイロット・プロジェクト(percentage deposit bail pilot project)」と名付けられたこのプロジェクトでは、本人の誓約書に基づく釈放は適さないとされた被告人であっても、従来であれば手配する必要があったであろう保釈保証書の額面の5%相当の金銭を裁判所に預託することによって釈放が認められた。預託金は、被告人が本人による誓約に必要な条件をすべて充足した時点で返還されることとされた。

このプロジェクトにより、調査対象となった裁判所では、この条件の下で釈放された被告人の不出頭率は、保証会社の保釈保証書を利用した制度の下で釈放された被告人の不出頭率よりも低い、ということがわかった。これは、おそらく、預託金が払い戻されることになっていたからであろう(注 [12])。Final Report of the Percentage Bail Project to the Chief Justice of the Superior Court and the Chief Justice of the District Courts 68 を参照のこと(注 [13])。このプロジェクトの成功により、この預託金方式は地方裁判所で広く採用されることとなった。また、地方裁判所の運用規則にも取り入れられることとなった。

「司法実務の基準 - 公判前釈放」と題された運用規則第4-77号が、1977年8月31日に地方裁判所の首席裁判官より交付された(注 [14])。この規則には、「保釈保証書に代わる誓約書と一定比率の預託金の併用」と題された基準1:07が取り入れられていた。その内容は、「保釈保証に代えて、誓約対象額の10%程度の現金を預託させることとし、この預託金は、求めに応じて裁判所に出廷することを条件として本人に返還されるが、これは被告人の自発的な出廷を確保するのに効果的な手法であることがわかっているので、これを推奨する」というものである。この基準の注釈では、次のように記されている。「保釈保証に代わる現金預託の利用を促進するため、裁判所は、誓約対象額の一定割合(通常10%)での預託を認めている。このやり方が現在も利用されているために、これが被告人に有利に作用するために、最高裁判所がこの手続を踏襲した事案を異議なく審議しているため、さらには、おそらく最も重要なことだが、この手続が公判前釈放の目的を推進するものであるため、保証のつかない被告本人だけの誓約が認められない事案においては……この預託の手法が推奨される。」

同様に、州の保釈監督官から合同司法委員会のメンバーである下院委員長に宛てた1998年7月14日の書簡によれば、上位裁判所の保釈委員会は、同裁判所の裁判官に対して、保釈命令を出すときは、保釈保証書による金額と現金での納付額の両方を記載し、現金での納付額は保証の引受けにおいて徴収される手数料の上限である10%とすることを推奨、奨励するようになった。

こうした経緯に照らすと、1970年代に登場した保釈金一定比率預託制度は、保釈制度の改革においてうまく機能し広く受け入れられたモデルであるのだが、立法者は、1981年に第58条を改正するにあたり、この制度よりも保釈保証書を優先するという方針変更を推奨しようとしたのではない、と我々は確信している。そのため、現在では、「現金保釈金制度は、欠陥があるとしても、保釈保証人制度に代わるより優れた制度である、ということで意見が一致している」。Harmsworth, Bail and Detention: An Assessment and Critique of the Federal and Massachusetts Systems, 22 New Eng. J. on Crim. & Civ. Confinement 228-229 (1996)参照。

当裁判所の見解については、保釈委員会により1981年改正法の文言に長年にわたって与えられてきた解釈もまた、さらなる裏付けとなる。第58条に対する1981年改正法の発効からほどなくして、保釈委員会は、「対当額」という文言を次のような意味に解釈した。裁判官が保釈金を単一の数字(たとえば1,000ドル)と定めた場合は、法律によれば、被告人は、その全額を現金による保釈金として納付するか、保証会社に手数料を支払って同額の保証書を出してもらうかしなければならなかった。しかしながら、裁判官が現金による保釈金としてある金額を指定し、別の金額を保釈保証書の金額として指定する命令を下した場合は、法律の「対当額」に関する規定はその保釈命令には適用されない。なぜなら、裁判官が指定したのは、裁判所にとって、それぞれの方式において許容できるリスクを金額で表したものであるからだ。

我々としては、州一般法第276章第58条の正しい適用に関する保釈委員会の論拠には、全面的に同意することはできない。しかし、選択可能な保釈金の額を設定することは、20年にわたって異議なく受け入れられてきたという経緯がある。マサチューセッツ州の裁判所の多くが、保釈保証書に代えて10%の現金による保釈金を指定するという運用を続けていることも併せて考えると、仮に立法者がこうした運用を廃止することを意図していたとすれば、1981年に制定された法律の文言では明らかにその意図を達成できていない(注 [15])。立法機関は、1981年以来何度も州一般法第276章第58条を改正してきたが、この部分の文言が変更されたことは一度もなく、この箇所をさらに踏み込んで改正する試み、すなわち、「保釈金の額は、現金または保証書のいずれによって定められるかにかかわらず、同額とする」と具体的に規定することには、その都度拒絶してきた(注 16[16])。1999 Senate Doc. No. 893などの判例を参照されたい。

4. 結論

法律の背景や目的に照らし、当裁判所は、州一般法第276章第58条の第1パラグラフの最後の文にある「対当額」という語は、効果において等しい金額を意味するものと結論する。保釈金との関連においては、当裁判所は、現金による保釈金の額の10倍に定められた保釈保証書は、その効果において現金による保釈金と同等であると結論する。その理由はいくつかある。まず、保釈保証書の額は、現金による保釈金として設定された額で得られる保証の最低額と等しく、次に、被告人に対する金銭的負担がほぼ同一であり、そして、訴訟手続全体を通じて被告人の裁判所への出廷を確保する効果が同程度に高い、というものである。それゆえ、現金による保釈金の額の10倍の金額で保釈保証書の額を定めるというやり方、言い換えれば、保釈保証書の10%の現金相当物を提供することは、法律で認められるものである。

したがって、以上のとおり命じた。

 

Spina裁判官(反対意見)

私は反対を表明させていただく。州一般法第276章第58条は、「現金による保釈金が求められる場合、被告は、保証会社の発行する保証書をもって対当額を提供することが認められる」と定める。私は、この規定にいかなる曖昧さも認めないし、当裁判所が確認したように(前述)、「相当」という語の「本来の2つの意味」によって何らかの曖昧さが生じているとは考えない。価値において現金による保釈金と等しい保証書は、効果においても現金による保釈金と同等の保証であり、このことは、いずれであっても、保証書の額面は裁判官の指定した現金による保釈金と同等であることを意味する。

私の見解では、当裁判所による法律の解釈は、「相当」という語の曖昧さに由来するものではなく、文章上は表れていない「提供」という動詞の間接目的語に由来すると考えている。この法律において、保釈金は、現金、保証書のいずれの形態であるかにかかわらず、1つの法主体に対してのみ提供される。その法主体とは、州でなければならない。当裁判所がたどり着いた結論であれば、「提供する」という動詞に2つの異なる間接目的語が必要となる。被告人が現金で保釈金を提供するのであれば、間接目的語は州であり、「対当額」を提供するのであれば、保釈保証人である(前記のとおり、「『対当額』とは、現金による保釈金として指定された金額(を保釈保証人に提供すること)によって得られる保証であって、すなわち、10万ドルあれば100万ドルの保証書を購入できるということである)。

当裁判所がたどり着いた結論は、法令解釈の基本的な規則に反するものである。この結論には、特筆に値する3つの側面がある。第一に、被告人に無意味な選択肢が与えられていることである。保釈金を裁判所の事務官に現金で支払い、事件の終結時にその支払額を取り戻すか、保釈保証人に対して、同じ金額を保釈保証書の保証料として、これに手数料を添えて支払い、事件処理後にはまったく回収を受けられないか、のいずれかである。第二に、当裁判所が述べているように保釈保証制度が有害であるとすれば、そして裁判所の友が提供した調査がそうではないと示しているならば、立法機関は、保証会社を保釈保証業から締め出すためにこのような手の込んだまわりくどい仕組みを作り上げるのではなく、彼らを完全に排除することができたはずである。第三に、保釈法令は、無罪推定に基づいて本人による誓約書を優先することとしており、そのため、保釈金を合理的な金額に設定するよう求めている。Mendonza v. Commonwealth, 423 Mass. 771, 774 (1996)を参照のこと。このように保釈法令を解釈すると、保釈保証書は、公判中の自由を得るために現金で保釈金を払う余裕のない被告人にとっては、現実的な選択肢ではない。

当裁判所は、裏付けとして「選択可能な保釈金の額を指定することが、20年にわたって異議なく受け入れられてきたという経緯」を挙げている(前記のとおり)。実際のところ、当裁判所が指摘しているように、裁判官は様々な方法で保釈金を設定している。当裁判所が認めるやり方で保釈金を設定する裁判官もいれば、この反対意見で認めているやり方で保釈金を設定する裁判官もいるし、また別のやり方で保釈金を設定する裁判官もいる(たとえば、現金なら1万ドル、保釈保証書によるなら2万5,000ドル、など)。これらの方法のいずれも、本質的に間違いではない。立法機関は、こうしたやり方を反映し、かつ、検証することで法律を改正することができるはずであり、そうすることによって、裁判官に対して、被告人の出廷を確保するために保釈金を設定する際には状況に応じて柔軟に対応できるような裁量を認めることになるのである。

私は、法律の用語が曖昧であるとは考えていないので、その用語については、一般的な意味で解釈するべきであると考える。つまり、被告人が差し入れる保釈保証書の金額、すなわちその額面金額は、裁判官が現金による保釈金として指定した金額と同額となる。

 


[1]     当裁判所は、司法長官、International Fidelity CorporationおよびRichard Verrochiによる裁判所の友としての意見書を承認する。

[2]     本意見書において、当裁判所は、この規定は上位裁判所の裁判官が定める保釈金にも適用されるとの前提に立っているが、そのような判断を下したものではない。

[3]     この上位裁判所の裁判官は、決定を行うにあたって、州一般法第276章第58条を解釈する根拠として、同裁判所の別の単独裁判官による最近の意見書および命令を部分的に引用した。Commonwealth vs. Kane, S.J.C. No. 2001-0006 (Jan. 9, 2001)を参照されたい。この事件では、上位裁判所の裁判官が被告に15,000ドルの現金または15万ドルの保釈保証書による保釈を認めた命令に対して州が控訴したのだが、これについて、担当の単独裁判官が検討を行った。この単独裁判官は、「保釈保証書の保証料と同額の現金による保釈金を定めることは通例となっている」と認めたものの、そうした命令は、「現金による保釈金の額と保釈保証書の金額は等しくなければならない」とする法律の下では不適切である、と結論した。当該単独裁判官は、被告に保釈を認めた裁判官が15万ドルの現金または保釈保証書を意図していたのか、それとも、15,000ドルの現金または保釈保証書を意図していたのか判断できなかったため、本件を再審理のために差し戻した。

[4]     州一般法第276章第61B条の中のある条文は、「保証業を営む者はすべて、上位裁判所が随時定める規則に準拠するものとする」と定めている。保証業者に関する上位裁判所規則第16条は、次のように定めている。「いかなる保証業者も、保証人としての業務の対価として、過大または不当な手数料を請求または受領してはならないものとする。保証業者が担保の設定を受けたときの手数料が誓約対象額の5%を超える場合、または保証業者が担保の設定を受けないときの手数料が誓約対象額の10%を超える場合、過大または不当な手数料であるとみなす。」

[5]     Black’s Law Dictionary 561(1999年第7版)によると、「相当」とは、「1. 価値、効力、量もしくは額、効果または重要性が等しいこと。2. 効果または機能が対応していること、ほぼ同一であること、実質的に一致すること」と説明している。Webster’s Third New Int’l Dictionary 769(1993年)の定義では、「特に効果または機能について、対応しているか実質的に同一であること」とある。さらに、American Heritage Dictionary 462(1991年)では、「類似または同一の効果を有すること」と定義されている。

[6]     Commonwealth v. Wotan, 422 Mass. 740, 743 (1996)を参照のこと(「繰り返し」という語は2通りの意味があるので、本件の事実に適用する際にこの語が曖昧であると結論づけることは、非現実的なことでもなければ道理に反することでもない」)。

[7]     1981年議会資料第7176号に関する法案は、最終的に1981年法第802章で承認されたが、その公式な法案の経緯の記録には、議会による公聴会、証言または報告が行われたとの記述はない。経緯として示されているのは、ここで問題となっている法律の文言は「議会の法案委員会が第三読会で提言した」、という記載のみである(1981 House J. 3123)。

[8]     Foote, Compelling Appearance in Court: Administration of Bail in Philadelphia, 102 U. Pa. L. Rev. 1031, 1046 (1954)などを参照のこと。

[9]     Bail: An Ancient Practice Reexamined, 70 Yale L.J. 966 (1961)の注釈を参照のこと。

[10]    1966年法第681章は特別法であり、1968年7月1日に失効することとされていた暫定的な措置として採用された。この特別法が適用されるのは、地方裁判所の扱う一定の犯罪のみであり、保釈に関する州一般法を修正するものではなかった。

[11]    改革前の保釈制度が抱えていた多くの問題の中に、「保証会社やその仲介業者と『保釈を担当する権限を有する者』との間の癒着」があった。サフォーク郡のある保釈審議官は、「この職を続ける唯一の方法は、特定の保証仲介業者に『気に入られる』ことだ」と報告していた。Final Report of the Percentage Bail Project to the Chief Justice of the Superior Court and the Chief Justice of the District Courts 10(最終報告)を参照のこと。改革前の保釈制度の欠陥は、Matter of DeSaulnier (No. 4), 360 Mass. 787 (1972)にも例示されている。この事件では、裁判所は、保釈保証人と不適切な協調関係を持った上位裁判所の裁判官については、裁判官としての資格を停止または剥奪する必要がある、とした。

[12]    保釈の目的は、被告人を裁判所に確実に出廷させることである。Commonwealth v. Stuyvesant Ins. Co., 366 Mass. 611, 614 (1975)より。

[13]    上記最終報告書の18~20ページと24~25ページによると、出廷義務を履行しなかった被告人の保釈保証書の没収に関する保釈保証人に対する訴訟のほとんどが、地方検事の事務所の名目「費用」で決着していて、それは保証書の額面金額をはるかに下回るものであることも明らかになっている。ある関係者は、もし「被告人が出廷しなかったすべての事例で……全額を支払うよう求められる」とすれば、「保釈保証業者は潰れてしまう」だろう、と述べた(同20ページ)。

[14]    首席裁判官は次のように指摘した。「規則という意味で適用が義務づけられているものではないが……(この基準は)公判前釈放手続で処理される様々な側面に関して、基準委員会が到達した定性的コンセンサスを表すものである。そのため、各裁判所は基準を遵守するよう努めるべきであり、望ましい実務を記載したマニュアルとして取り扱い、正当な理由があるとき以外は逸脱してはならないものとするべきである。また、基準全体にわたって、制定法の条文や判例法が数多く参照されており、当然のことながら、これらも遵守しなければならない。」

[15]    Rayは次のように主張している。保釈保証業界のロビイストたちが1981年改正法を仕掛けたのであって、それゆえに、立法者は、保釈保証書の額と保釈金の代わりに納める現金は同額で設定されるという意味になるような文言を意図していたはずである。そうでなければ、この改正は、それを支持した人たちの利益に資することにはならなかったであろう、というのである。この主張は、我々が突き止めた限りでは、この改正を支持した民間の業者の意図と法改正を行った立法機関の意図を混同しているものである。それらは必ずしも同じではない。現金による保釈金と保釈保証書による保釈金を完全に同一の金額とすることを求めるのが立法者の意図であったとすれば、簡潔かつ明確にそう書くことができたであろう。さらに重要なこととして、Rayの議論は、1981年に保釈保証業界が直面していた課題の重大性を考慮していない。業界は、大々的な非難にさらされていて、保証業者による保釈金の納付を全面的に禁止しようとする動きが全米で勢いを増していた。この動きは、1985年には、米国法曹協会が保証業を営むことを禁止するよう求めるに至った(2 ABA Standards for Criminal Justice, standard 10-1.3(c) (2d ed. rev. 1985)より)。結果的には、統一州法委員会全国会議は、刑事手続においては保証人が対価を受け取って保釈金を納付することを認めない、とする統一規則を採用することとなった(Unif. R. Crim. P. 341(g)(2), 10 U.L.A. 42 (Spec. Pamph. 1992)より)。上記2 ABA Standards for Criminal Justiceのstandard 10-5.3(d)も参照されたい。マサチューセッツ州では、1970年代になると、一部の裁判官は現金のみの保釈金を指定するようになった。このやり方は、地方裁判所の「司法実務の基準 - 公判前釈放」の1977年版において、「適法性に疑いがある」と指摘され、差し控えるべき、とされたものである。Administrative Regulation No. 4-77, standard 1:08を参照のこと。この状況では、いかなる形態であろうとも、マサチューセッツ州における保釈保証書制度の存続が法律的に裏付けられれば(被告人にとっては現金という選択肢ほど魅力的ではないとしても)、保証業界にとって立法上の成果であっただろう。1981年に改正された州一般法第276章第58条は、我々が目下その意図を解釈してきたが、そうした成果を達成するものである。

[16]    反対意見が示すところと反して、裁判官が保証書の形式による保釈金と10%相当の現金という選択肢を指定する場合であっても、一部の被告人にとっては保釈保証書の方がより現実的または魅力的な選択肢となることがある。保釈保証業者に関する上位裁判所規則第16条が認める上限額である10%以内であれば、保証会社は、自社が提供する保証について手数料を自由に設定することができる。よって、被告人が保証会社に現金以外の担保(不動産など)を差し入れるならば、保証の最高額は5%に下がる。

上記の資料からイリノイ州と同様、全弁協という営利目的の組合が保証書を発行する事により営利目的団体が挙って参入し「保釈」に対しての存在意義、あり方も崩落する可能性が危惧されそれは各界に影響するでしょう。具体的にその影響を各界ごとにまとめました。

法曹界
・裁判官の裁量が奪われる
(保釈保証保険によって保釈金額の意味が失墜する。)
・国選を含む弁護人の保釈申請の可否及びタイミングが被告人のイニシアチブで進められ、弁護人の考えは被告人によって一掃される。
・保釈取消し件数の増加
警察
・暴排条例によって低下している暴力団の保釈率も保証書の運用により増加が見込まれる。

市民
・暴力団の保釈率が増加することにより市民の脅威となり生活が脅かされる。

この各界に懸念される影響の中、日弁連法務研究財団 保釈保証保険制度研究会 研究主任である弁護士 竹之内 明 氏は日弁連新聞(第457号 平成24年2月1日「新たな保釈保証制度導入へ」)において「保証書での運用が始まれば早晩、保証料の低額化や預託金の廃止も可能になるものと考えられる」と示唆しており、この考え方は2011年「自由と正義」の同氏のレポートから韓国における保釈保証書運用が大きく影響しており韓国では国家的な経済事情から政府主導による国策として勾留・拘留の管理費用削減として保証書の導入という経緯があり、対して日本の保釈実務での保証書による保釈の割合は、1987年以降1%台、1998年は1.2%とし、明らかに日本の裁判所はこれに消極的です。この数値から覗えるように日本国政府が推進するという前提も無いままに特殊な事情があって成立した韓国の制度をあてはめる事はあまりにも牽強付会であります。
保釈という目的は同質にせよ当協会ではあくまで被告人の更生の観点から支援を行い
保釈保証金立替支援審査を設けており暴力団の資金源となる事件、暴力団の抗争事件に関する被告人及び、何度も犯罪を繰り返す被告人、実刑5年以上の判決が見込まれる事件は裁判所の保釈許可が出ていても保釈支援は行わないこととし、契約者においても保釈保証金没取の際は当協会の立替金の弁済責任を果せる方と定めております。(日本保釈支援協会 保釈保証金立替支援審査基準表)こうして審査を設けた上で業務を行う事により裁判官の裁量も尊重しております。「保釈」に対しての存在意義が根底から変わらないよう当協会は努めております。

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保釈保証金立替システムは、当協会が開発したシステムです。(特許出願2004-225786)当協会は理事、監事を弁護士と公認会計士で構成している一般社団法人です。最近、営利業者が当協会類似の保釈保証金立替業務を行っている事実がありますのでご注意ください。尚、当協会名と類似の商号を使っている業者に対しては、警告または補償請求を致します。