特集 ~保証書がもたらす保釈の末路~

保釈保証書共同発行事業とは

全国弁護士協同組合連合会(以下「全弁協」という。)は、去る5月31日の総会で「保釈保証書共同発行事業」を定款に追加することを承認したという事です。この事業は、昨年まで「保釈保証保険」という名称で推し進めてきたものです。名称を変更した理由は不明ですが、いずれにしても保証書に保険を付加して保釈手続きを行う事業の様です。刑事訴訟法は、第94条3項では「裁判所は有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。」としています。続いて、保証書の説明では、「保釈の保証書とは民事上の保証契約のごとく本人の債務の支払いを保証するものではなく、被告人が保釈取消等の理由で保証金を没取される場合、保証書記載の金額を没取執行されることを国に対し承認するところの一種の公法上の契約というべきものである。」

そして、その運用として「有価証券や保証書による代納は保証金額の全部又は一部について許されること、保釈許可決定と同時、あるいは決定の後に許可しうることは第三者の代納の場合と同様である。なお保証書代用許可決定の方法と告知の範囲・方法については、第三者の代納許可の場合と同様であるが、第三者代納が通常保証金の金額についてなされるのに対して、保証書の代用は保証金額の一部についてなされる例が多いから残額について被告人や保釈請求者が現金で納付しなければならないこととなるので、その関係を明確にするためにも、決定書を作成して、被告人保釈請求者、保証書代用許可申請者に対して謄本送達の方法により、告知することが望ましい。」と定めてあります。

この定めにある代納については、当協会では設立以降今日までの9年間全国の裁判所に対して数えきれないくらいの代納許可申請を提出を行ってまいりましたが、未だ認められない状況です。設立当初当協会は条文のとおり直接裁判所へ保釈保証金を納付できると思っておりましたが、上記のとおり裁判所の第三者納付が認められないが為、現在の運用は担当弁護人を通じて裁判所に納付するスキームに変更せざるを得なくなりました。

先日、当協会で保釈保証金立替支援を行った中で、裁判官の保証書に対する考えがよくわかる出来事がありました。詐欺罪で起訴された被告人の保釈許可が下りた後の話です。この被告人の保釈保証金は1200万円で決定し当協会は支援を決定して、限度額である500万円の立替支援を行いました。残額の700万円の内、被告人が現金300万円、担当弁護人保証書で400万円の内容で裁判所へ納付の手続きに出向いた際に、担当弁護人保証書割合が高い為もう少し減額して頂きたいと要請があり、その後700万円の残額の内、被告人現金400万円、担当弁護人保証書300万円に変更したことで保釈手続きが完了致しました。 要するに、この被告人の場合、弁護士保証書割合が全体の1/3(33.3%)では多すぎて、1/4(25%)に変更することによってバランスが良くなったという事です。

裁判所へこれまで当協会では、多くの代納申請や保証書と保釈保証金を組み合わせた保釈申請を行ってきた中で感じますのは、法律上では代納や保証書での保釈手続きを許すことが出来るとしてありますが、実際の運用では、被告人の逃亡や保釈条件の抵触に対する抑止力として、第三者が保釈保証金を納付する代納や保証書では十分ではないという判断があるように思います。

全弁協で構想する保釈保証書共同発行事業の目指す決定保釈保証金額の90%部分を保証書で行い、しかも保証書には保険が掛けられているものとなれば、更に抑止力の観点からは、形上の紙としか見られなくなるこの事業構想では、裁判所の了解を得るまでの道程は遠いもののように感じます。

保釈率向上に向けての理想的構想」でも述べた様に、不必要な勾留を回避し被告人の人権が確保される為には、全弁協が企画する「保釈保証保険」や「保釈保証書共同発行事業」といった枝葉的発想ではなく、法曹三者による根源的な解決策を協議して頂くことが望まれます。それは、約10年前から取り組んできた当協会の活動の結果年間支援できる件数は約3千件に留まっていることが象徴しています。

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