特集 ~保証書がもたらす保釈の末路~

全弁協が隠す落とし穴 vol.2

先日、自由と正義(2013年5月号vol.64)に全国弁護士協同組合(以下、全弁協という)の行う、保釈保証書発行事業の申込書と契約書が掲載されていました。これらを通読した結果、数点の疑念はありながらもその中で特に強く疑念を抱いた点が以下の2点となります。

1.被告人が暴力団員及び暴力団関係者であっても利用できる点。
2.「株式会社損害保険ジャパン」(以下、「損保ジャパン」という)という損害保険会社の存在。

まず、1においては保釈保証委託契約書第6条(委託者の要件)として以下のように記されております。

乙(全国弁護士協同組合連合会)は、甲が次の各号のいずれかに該当する事が明らかとなった場合には本契約を解除する事ができる。

(1)「暴力団員による不当な行為の防止に関する法律」に規定された暴力団
(2)暴力団対策法に規定する暴力団員
(3)保釈保証の対象となっている被告人の被告事件の共犯者

 

上記を読む限り、「被告人」が暴力団員であろうとも保証対象者とし、飽くまで「保証委託者」が暴力団員でないことが条件となります。当然のことながら暴力団員も人間であり人間である以上、人権は存在し、それは揺ぎ無い確かな事実です。しかしながらその反面、暴力団員である被告人が再び組織に合流することを早め、組織の活動を後押しする事や被害者の脅威になるという結果にも繋がりかねません。

平成23年に暴力団排除条例を施行し暴力団の排除、根絶を掲げる昨今の日本において全弁協の保釈保証書発行事業が暴力団の活動を助長する結果となり元の木阿弥となる状態が想定される事もまた否定できない事実です。

2の問題においてはこの事業の背後に影を潜めている「損保ジャパン」という損害保険会社の存在です。

日弁連や単位弁護士協同組合ニュースでは「事業の継続性・安定性を維持する為に損保ジャパンと提携する」との事でしたが、契約書等には一切この「損保ジャパン」という単語は確認できません。

周知のとおり損保ジャパンは「損害保険会社」であり、この事業における損害といえばやはり保釈金の没取と考えるのが妥当であり、上記損害保険会社から保険として支払われる金銭は「没取」に対しての損害保険金でしかないでしょう。契約書を読む限り、没取の際は保証委託者に自己負担金を除いた90%を求償するとの契約内容ですが、これは全弁協と委託者の間で締結される契約内容であり、万一、委託者が債務を弁済できない場合には損保ジャパンが損害保険金として全弁協に没取された保釈金相当額を補てんするという契約を裏で全弁協と損保ジャパンが締結しているのであれば、そこにはもう「保釈」は形骸化も同然です。保釈の意味は完全に奪われ当然、保釈保証金の意味も失墜し、保釈保証金の意味が失墜するということは延いては保釈を決定した裁判官の裁量も奪われるという事にも繋がります。又、被告人や委託者の保釈に対しての在り方・意識の低下にもつながり保釈金の没取や再犯が多発する事にもなりかねません。

損害保険会社と提携する事によって「何か起きた際は保険で補てんすればよい」という保釈制度を安易に考えるこのスキームは極一部の弁護士の長期的且つ安定した収入を獲得する為の手段でしかなく、「人質司法の打破」を大義名分に株式会社である損保ジャパンと提携し司法全体、日本全体を惑わすこの事業には絶望的な気分になり、保証書を用いて保釈するという見解には再考の余地が残ります。

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