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2006年10月30日

母親の愛情

 「バカなことをしでかして!」親不孝にも程がある……と思いながらも息子が逮捕され面会が出来るようになったら、日参し息子と面会している。息子は恐喝罪で逮捕勾留されました。前科は無いようですが過去に一度警察に逮捕?されるが、その日に何事も無かったように帰ってきましたと、お母様のお話でした。

 面会に行くといつも「弁護士先生へ保釈申請を頼んでくれ。弁護士先生は、俺から私選弁護士として依頼して、受任してくれている。保釈が許可されたら、日本保釈支援協会から保釈保証金の立替支援を受けられるように、母さん申込んでくれ。弁護士費用も保釈金の立替費用も俺が全部用意出来るので、俺が保釈されたら全部費用は返すから……母さんお願い。」といつも同じ事を話していたそうです。

 お母様はきっと預貯金があるのだろうと息子を信じ、弁護士先生に保釈申請をお願いして協会にも支援の申込みをしました。

 お母様は75歳とご高齢で、しかも役所から生活保護費の受給を受けています。受給額も微々たる金額のようですが、それでも息子からの依頼ならと親心から、なけなしの蓄えから捻出しようと考えていらっしゃる様子、余計なことなのかもしれませんが、私は少し気になっていました。

 私はその後詳しくお話を聞いているうちに、ますます心配になってきました。保釈されたいが為に適当な口述を使う被告人も多いとも聞くので。そんな気もしながら支援申込みの説明から支援が出来るまでの一通りの内容をお話した後、弁護士先生からのお話があり、「被告人は預貯金はありません」などお母様のお話との違いも確認しました。

 被告人が本心から更生し社会復帰を願っているのなら、協会としてはこのような方々へは当然支援していくのが目的のひとつです、しかしちょっと複雑な気持ちがいたしました。

 幾才になっても親がいる以上親の愛情があり、特に母親の愛情は強いものがあるようです。「山より高き父の恩、海より深き母の恩」とも言います。お母様と話す限りその内容は、つくづくと息子に対する愛情ばかりが感じられる電話の対応でした。「目に入れても痛くない」なんて言葉もあります。

 戦争時代、戦場から届く手紙が母親宛が多かったとも聞きます。そして兵士が負傷したり戦死の直前には寂しくも「お母さーん」と叫ぶ声も聞く事が多かったなど、昔の話にも体験者などから聞いた事がありました。まさに「岸壁の母」(わかりますか?)でした。まったくそれと共通する愛情ある母親の言葉でした。

 しかし被告人の保釈については、弁護士先生からの連絡によりますと、今後の保釈申請は判決日も近くなり母親の気持ちは大変理解出来るが保釈申請はしないことにした、被告人本人からの希望もある事で決定致しましたと連絡がありました。お母様の気持ちを無視する訳ではありませんが,正直これで良かったと少しホッとしたような気持ちにもなりました。

 被告人の保釈許可を裁判所から認められた時に、裁判所から受け取る「保釈許可決定」という書面があります。今回のブログは、その書面内容について触れてみたいと思います。この書面内容がいかに大事で大切なものなのか、特に保釈された方又その関係者に読んで頂きたく思っております。

 書面の始まりは被告人の事件番号から記載され、表題が「保釈許可決定」である。被告人の事件について、○○が(保釈申請者)保釈の請求をして裁判所は検察官に意見を聞いた上で保釈の決定をする……と。主文として保釈金額、さらに保釈後の指定条件が記載されています。この指定条件を守らなければ、保釈の取り消し、保釈保証金の没取がされてしまうことになります。

 指定条件とは被告人の事件内容により異なりますが、5~6項目が記載されています。

1 住居の制限に関する注意文
2 裁判所からの召喚に関する文
3 逃亡、証拠隠滅に関する注意文
4 旅行の日数制限に関する注意文

などが一般的である。事件内容によりさらに多くの条件がつくこともある。しかしこれらを変更する事情がある時は、裁判所へ届け出をし許可を得ることが必要で手続きは決して忘れてはなりません。被告人の身勝手な行動が原因で、保釈の取り消し又は保釈保証金が没取されてしまうことがあれば、被告人の関係者が大きな迷惑と負担をこうむる事になります。

 協会の基本的な考えは、保釈される条件下で保釈保証金の用意が出来ない被告人の中でも、社会復帰をして更生を計ろうとする姿勢が、被告人の関係者や担当弁護人を通じて感じられる被告人のみ、保釈保証金の立替支援をしていく考えです。

 この基本的な考え方を協会としては大切にしていきたいと思っております。協会と支援を受ける被告人の関係者又は関係者から支援を受け保釈されていく方々が、協会の支援目的の意味を理解し立派に社会復帰をされる事を願っております。それが実現すれば、我々の活動も報われます。

 平成18年10月10日は協会にとって忘れられない日となりました。それは平成16年4月27日に協会を設立して以来約1000件弱の立替を行って参りましたが、この中の数十件くらいでしょうか、国選の弁護人の先生方の関与が得られないケースがありました。その度に協会は、弁護人に代わり第三者で納付するいわゆる代納の申請を裁判所に提出してきました。しかしこれまでは、まだまだ裁判所への協会の認知度も低く第三者納付の申請をしても、裁判所から許可を頂く事は出来ませんでした。

 それが10月5日に裁判所より代納許可の決定が下り、そして今日10月10日に裁判所への代納が実行されました。裁判所名と裁判官名はご迷惑がかかることを考慮して協会秘とさせていただきますが、ここまでの協会の活動を評価して頂き代納許可を頂いた事にただただ感謝し、今日この日の決定に報うべく今後も地道な支援活動をしていく志を改めて強く持ちました。

 本当に今日はこの3年間の中で忘れられない一日になりそうです。そのくらいうれしい出来事でした。改めて被告人のお母様とご協力頂いた国選の弁護士先生にも感謝し、今日は筆を置きます。

2006年10月06日

案ずるより産むが易し

 昨日から降っている雨は、夕方になってもやむ気配がありません。そんな中、仕事おわりに書き込みをしております。今回のお話は、皆さんが当協会へお電話をしていただく際のご質問の内容をお話しさせていただきます。

 まず特に多い質問というのは、『仕事をしていない私でも支援してもらえますか?』、『被告人は保釈してもらえるでしょうか』といった質問です。こういった質問をしていただいても、手元に申込書が届いてなければ何も状況を理解できないので、『支援できます』とか『保釈できます』とはお答えは出来ないのです。

 お問合せをされる皆さんは、『ワラをもつかむ』気持ちでお電話やお手紙でお問合せをしていただきますが、『支援できますか?』というお問合せに協会職員として何も状況が解らない状態で『支援できます、できません』とはお答えできませんし、『保釈できますか?』に対しても、保釈を許可するか否かは、裁判所が決定することなので『保釈できます、できません』とはお答えできません。

 もしも、このブログを読んでからお問合せをされる方がいましたら、まず申込書を送っていただいた後にご質問をしていただければ、ご相談に応じる事が出来ると思います。「案ずるより産むが易し。」まず勇気を持って行動を起こして下さい。協会にご連絡頂ければ、所定の支援申込書は郵便またはFAXでお送り出来ます。
 
 そして申込みをしてこられた方々の感想は皆似ています。「まさか私が支援してもらえるとは思っても見なかった。」という意見なのです。

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